脱炭素化に向けた普通鋼電炉工業会の取り組みと関連ガイドライン
(1) 普通鋼電炉鋼工業会WGの活動について
- 2022年3月に経済産業省主導で発足したGXリーグでは、将来のビジネス機会を踏まえ、GX新市場創造に向けて官と民でルール形成を行う場として市場ルール形成WGが設けられました。
- 市場ルール形成WGの一つとして、2023年1月に公募された「グリーン商材の付加価値付け検討WG」にGXリーグに賛同する異業種計17社が参加しました。電気炉製鋼会社からJFE条鋼㈱、愛知製鋼㈱の2社が参加し、2023年12月発行の「グリーン商材の付加価値付けに関する提言書」の中で、グリーン候補商材のユースケースとして、「環境配慮型電気炉鋼材」という名称で例示しました。
- 提言の次の展開として、「環境配慮型電気炉鋼材」に関する実証を行うため、普通鋼電炉工業会(以下、普電工)環境委員会では、普電工会員に限らず広く電気炉製鋼会社各社へ、環境配慮型電気炉鋼材WGへの参加を呼び掛けました。
- その結果、普通鋼、特殊鋼の枠を越えて30社が参加し、鋼材の製造工程に付随する環境負荷の低減価値を持つグリーン商材の事業活用(販売・標準化)の検討を行うためのガイドライン案について、2024年末まで議論しました。
(2) 電炉鋼製鋼会社にてスコープ2 (電力消費) 相当のCFPを低減する目的
- 電気炉製鋼会社各社は、カーボンニュートラル達成に向け積極的に活動を行っています。こうした中、お客様側では、サプライチェーン全体で低炭素、脱炭素を目指す動きもみられ、電気炉製鋼会社各社においても、こうしたニーズに応えることが求められています。
- 電気炉製鋼は従来から徹底した省エネルギーを実践しており、製造時に使用するエネルギーのうち約60%から約80%が電気エネルギーであり、すでに大部分電化を実現しているプロセスです。そのプロセスの特徴を活かし、さらに鋼材のスコープ2相当のCFP(カーボンフットプリント)を低減する方法として、非化石電力の属性を特定の製品に付与し、低CFP鋼材を製造することが検討されました。
(3) GX推進のためのグリーン鉄研究会の答申
- 2024年9月に発足した「GX 推進のためのグリーン鉄研究会」では、非化石証書を活用した電力を使用した鋼材については、「非化石エネルギーの拡大というエネルギー政策の観点から議論されるべきものであり、鉄鋼業から直接排出される温室効果ガスの排出量をGX投資によって削減することを主に論じてきた本研究会としては、主として扱うテーマではない。一方で、非化石証書を活用した鋼材について、非化石証書の鋼材への割り付け方等の運用方法については様々な方法が考えられ、運用の透明性を確保する上でも、鉄鋼業界内で広く議論が行われ、検討が深まっていくことが期待される。」とされました。
(4) 非化石電力鋼材のカーボンフットプリント算定ガイドライン関連
- GX推進のためのグリーン鉄研究会の答申これを受け、普電工環境配慮型電気炉鋼材WGにて策定が進められていた環境配慮型電気炉鋼材ガイドライン案を議論の土台として、日本鉄鋼連盟と議論を重ね、この度、「非化石電力鋼材のカーボンフットプリント算定ガイドライン」を策定いたしました。
- ガイドライン(PDF)のリンクはこちら
※なお、本ガイドラインの対象である非化石電力鋼材は、GXスチールには相当いたしません。

非化石電力鋼材
非化石電力鋼材ロゴマークは、一般社団法人日本鉄鋼連盟の登録商標として商標登録出願中です。
●日本鉄鋼連盟/GXスチールガイドライン・関連ガイドラインへのリンク